採用できない会社は、事業を続けられるのか?――人材確保が経営課題になる時代

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採用できない会社は、事業を続けられるのか?――人材確保が経営課題になる時代

人が採れない。採用しても定着しない。現場の人員が足りず、新しい仕事を受けられない。こうした悩みは、人事部門だけで完結する問題ではなくなっています。

採用の目的は、欠員を補充することだけではありません。事業を維持し、技術やサービスを次の世代につなぐことにもあります。いま企業に求められているのは、採用を経営戦略の一部として捉え直す視点です。

目次
  1. 人材不足は、すでに事業継続のリスクになっている
  2. 同じ採用市場でも、企業によって難しさは違う
  3. 求人を掲載するだけでは、採用活動は完結しない
  4. 採用活動にマーケティングの考え方を取り入れる
  5. 採用戦略を見直すための5つの問い
  6. 採用を、人事任せにしないために

人材不足は、すでに事業継続のリスクになっている

日本では人口減少が進み、働き手の確保は長期的な課題です。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」も、人口の減少傾向を示しています。ただし、人材不足の程度は業種や地域、職種によって異なります。

帝国データバンクによると、2025年の「人手不足倒産」は427件で、3年連続の過去最多でした。採用難や従業員の退職、人件費上昇などが事業継続に影響したケースです。また、東京商工リサーチの調査では、2025年の「後継者難」倒産は454件と、過去2番目の高水準でした。

もちろん、これらの件数だけで中小企業の倒産原因全体を説明できるわけではありません。しかし、人材を確保・育成・承継できないことが、企業経営に直接影響する状況は無視できません。

事業を続けるために必要な人がいなければ、売上の機会を逃し、既存社員への負荷が増え、さらに離職を招く可能性もあります。

採用は「人が必要になったら始める業務」ではなく、事業継続を支える経営課題です。

採用難や離職から人員不足、業務負荷増加、さらなる離職や事業継続リスクにつながる可能性を示した模式図

同じ採用市場でも、企業によって難しさは違う

「どこの会社も採用に苦労している」と一括りにすることも正確ではありません。企業の知名度や規模によって、求職者との接点には大きな差があります。

リクルートワークス研究所の2026年卒向け調査では、従業員300人未満の企業の大卒求人倍率は8.98倍。一方、5,000人以上の企業では0.34倍でした。求人倍率は、就職希望者1人に対する求人の数を示す指標です。数値が高いほど、企業側から見た採用競争が厳しいことを意味します。

この比較は新卒採用に限ったものですが、規模によって人材獲得の条件が大きく異なることを示しています。知名度が高い企業と同じ採用方法を取るだけでは、同じ結果を期待できません。

中小企業には、大手とは異なる魅力もあります。経営者との距離、仕事の裁量、地域とのつながり、専門技術などです。ただし、それらの魅力が求職者に認識されなければ、比較検討の対象にすら入らない可能性があります。

2026年卒の大卒求人倍率は従業員300人未満企業で8.98倍、5,000人以上企業で0.34倍という比較

求人を掲載するだけでは、採用活動は完結しない

ハローワーク、求人媒体、人材紹介会社、採用サイト。それぞれに役割があり、今も重要な採用手段です。問題は、どれか一つを導入すれば応募が増える、と考えてしまうことです。

例えば、求人媒体で初めて会社名を知った求職者が、検索して採用サイトを見る。社員の働き方を知りたくてSNSを確認する。そのうえで、応募するかどうかを判断する。こうした複数接点をまたぐ行動は十分に考えられます。

このとき求人票には待遇しかなく、採用サイトは企業理念の説明だけ、SNSは社内の人にしか伝わらない話題ばかりだったとしたら、求職者は働く姿を具体的に想像できません。

採用に必要なのは媒体の数を増やすことだけではなく、認知から企業理解、比較検討、応募までの間に、どんな疑問や不安が生じるかを整理することです。

採用活動にマーケティングの考え方を取り入れる

マーケティングというと広告やSNS運用を想像しがちですが、採用において重要なのは、相手の意思決定を理解して接点を設計することです。

まず、採用できない原因を分けて考える

応募数が少ないのか。説明会から選考に進まないのか。内定辞退が多いのか。入社後の離職が課題なのか。ボトルネックによって必要な施策は違います。

例えば、応募そのものが少ない場合は接点や認知の不足を疑います。一方、採用ページには人が来ているのに応募されない場合、仕事内容の情報不足や応募条件、導線の分かりにくさなどを検証する必要があります。動画を増やすだけで解決するとは限りません。

求職者が判断するための情報を揃える

企業が伝えたいことと、求職者が知りたいことは必ずしも同じではありません。「やりがいのある仕事です」と伝えるよりも、実際の一日の流れ、入社後の研修、働く人の考え方が判断材料になることもあります。

採用コンテンツの役割は、企業の魅力を一方的に宣伝することではなく、求職者が納得して判断できる材料を提供することです。

SNSや動画には、採用導線の中で役割を与える

SNSは新しい求職者に会社を知ってもらう接点にもなりますが、それだけではありません。求人媒体やイベントで会社に興味を持った人が、後から職場の雰囲気を確かめるために訪れる場合もあります。

「SNSを始めるか」より先に、「採用導線のどこで、何を伝えるために使うか」を決めることが重要です。

認知・理解・比較・応募という採用検討段階と、各段階で役立つ採用情報の役割を示した図

採用戦略を見直すための5つの問い

採用施策を増やす前に、次の問いを社内で確認してみてください。

  1. 事業を継続・成長させるため、いつまでに、どの職種で、何人必要なのか。
  2. 現状は、認知・企業理解・応募・選考・定着のどこで人が離れているのか。
  3. その段階の求職者は、何を知れば次の行動を判断できるのか。
  4. 求人媒体、採用サイト、SNS、イベントなどは、それぞれ何を担うのか。
  5. 応募数だけでなく、採用人数や定着など、何を基準に改善するのか。

すべてを最初から明確に答えられる必要はありません。大切なのは、施策を選ぶ前に問いを持つことです。採用活動を個別施策の寄せ集めではなく、一つの意思決定の流れとして捉えることで、投資の優先順位も見えやすくなります。

採用を、人事任せにしないために

採用は待遇や労働環境、育成体制、事業計画ともつながっています。そのため、採用マーケティングだけですべての課題を解決できるわけではありません。経営と人事、現場が同じ課題認識を持つことが出発点です。

緋乃株式会社では、動画を作ることやSNSに投稿することを目的にせず、まず採用課題と求職者の接点を整理するところから支援しています。必要に応じて採用コンテンツやSNS運用、動画制作を組み合わせ、事業目標に沿った施策を検討します。

「どの媒体を使うべきか」「そもそも動画が必要なのか」が決まっていない段階でも、相談する意味はあります。採用活動を事業継続のための取り組みとして、一度整理してみませんか。

参考資料・出典

SNS・動画活用を、事業成果につなげるために。

採用・集客・企業認知に向けた戦略設計から、動画制作・SNS運用まで。
緋乃の支援内容や事例を資料にまとめています。

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